誤嚥性肺炎とは、食べ物などが気管に入ってしまうことが原因でおこる肺炎です。
高齢者に多い病気で、その理由は大きく3つあります。
パン子
高齢者に多い誤嚥性肺炎の特徴や原因、それぞれの予防法について説明していくわ。
誤嚥性肺炎ってこんな病気
富男
本来であれば、気管に入らないはずの唾液や胃液が気管入ってしまうことが誤嚥。誤嚥によって引き起こされる肺炎だから、誤嚥性肺炎と呼ばれている。
富子
誤嚥が原因であること以外は、普通の肺炎と同じなんですか?
富男
通常の肺炎は、せきや発熱などの症状が出るけれど、誤嚥性肺炎の場合は、こういった症状が出ないこともあるんだ。だから、気付きにくいケースが多いんだよ。
富子
怖いですね…。どうして誤嚥性肺炎になってしまうのでしょうか?
富男
理由は大きく3つあるよ。順番に説明していこう。
原因1.咀嚼・食塊形成・嚥下能力の低下
富子
確かに高齢者って、噛む力も飲みこむ力も弱くなっていますよね。
富男
それだけじゃないんだ。食塊形成といって、噛んだものをうまくまとめる力も弱くなっているから、うまく飲みこめないというのもあるんだよ。
富子
なるほど。だから柔らかく煮たり、刻んだり、とろみをつけたりする必要があるんですね。
富男
そうだね。咀嚼・食塊形成・嚥下のうち、どれが弱いのかによって、食事の対応を変えると誤嚥が防ぎやすくなるよ。楽に食べられるよう姿勢を工夫するのも大事だね。また、自分の好きなものだったと上手に食べられる傾向にあるんだ。
富子
好きなものだと、食べる気力もおおいにわきそうですね。
原因2.不顕性誤嚥
富男
不顕性誤嚥って知ってるかな?
富子
ふけんせいごえん…難しい言葉が出てきましたが、誤嚥の一種ですよね?
富男
そうだね。普通、唾液って自分で飲みこまない限り口の中にたまっているよね。でも、不顕性誤嚥では勝手に流れ込んでしまうんだ。脳梗塞を患った高齢者に多い症状だね。
富子
じゃあ、むせたりもしないんですか?
富男
むせ返りもない。しかも、たいてい口腔ケアがきちんとできていないことが多いから、気管に流れ込んでしまう唾液の中に細菌が多くて、肺炎が重症化しやすいんだ。
富子
自分で飲みこめるって大事なことなんですね…。
原因3.胃食道逆流
富男
寝ている間などに、食べたものが胃から逆流して誤嚥性肺炎になることもあるんだ。
富子
胃酸なども一緒に逆流したら、粘膜を傷めてしまいますよね…。
富男
良く気付いたね。胃食道逆流の厄介なところは、消化液も一緒に逆流してしまうから、粘膜を傷めて肺炎を起こしやすくなってしまうことなんだ。
富子
大変!どうにかならないんですか?
富男
食後すぐに横にならないことが予防策だね。最低でも2時間くらいは座った状態を保つことが大切だよ。
口腔内の清潔も大切
富男
口の中は意外と細菌が多いんだ。だから、口腔内を清潔にして細菌を減らすことも、誤嚥性肺炎の予防につながるんだよ。
富子
歯磨きって、虫歯や歯周病予防のためだけじゃないんですね!
富男
高齢者は、とくに口腔ケアがおろそかになりがちだから、ご家族や支援者がサポートをしたいところだね。
富子
私も今度、おじいちゃんの歯磨きチェックしてみます!
高齢者が誤嚥性肺炎になりやすい3つの理由と予防策のまとめ
誤嚥性肺炎を予防するためには、口腔内の清潔を保つことと、食べやすいように食事介助を工夫すること、食後すぐに横にならないことが大切です。
また、嚥下能力を低下させないための簡単な体操やリハビリもあります。
デイサービスなどを利用しているのであれば、ケアマネージャーに相談して取り入れてもらうのも良いでしょう。