虫歯は経過観察で済む初期虫歯から重度の虫歯まで、5段階に分けられます。

CO

ごく初期の虫歯で治療の必要はなく、経過観察になります。
歯の表面のエナメル質が溶かされてツヤがなく、ザラザラしていたり、白濁や茶色い褐色斑が認められます。痛みなどはほぼありません。

ミュータンス菌が出す酸によって口の中が酸性に変わると、歯の表面が溶かされてカルシウムやリン酸といった成分が溶け出します。これを「脱灰」と呼びます。しかし、唾液の中にあるカルシウムなどは「再石灰化」によって、再び歯に戻ります。

初期虫歯では再石灰化を促進するフッ素を塗布して歯を強くするなど、歯の治療はせずに様子を見ます。

C1

歯の表面のエナメル質が溶かされて、穴が開いた状態です。虫歯がエナメル質のみに限られているため、痛みはほとんどありませんが、甘いものや冷たいものを食べるとしみる場合もあります。

C2

エナメル質の下の象牙質まで虫歯が進行した状態です。冷たいものや熱いものがしみるようになります。麻酔をしてから虫歯を削って型を取り、詰め物をします。

C3

虫歯が歯の神経（歯髄）にまで達した状態です。穴が開いて黒く見えることもあります。虫歯が神経に達すると、歯がしみたり、ズキズキしたり、歯茎が腫れたりします。麻酔をかけて歯の神経を取り除き、被せ物をします。

C4

歯の上部（歯冠部）がほとんど崩壊して、歯の根の部分だけが残った状態です。感染した歯槽骨が溶け出して膿が溜まったり、歯茎が腫れて炎症を起こすこともあります。神経は死んでいるため、痛みはありません。
神経が治療できない場合は、抜歯します。

虫歯の治療は虫歯の進行度によって、治療内容が変わってきます。

詰め物（インレー）

比較的虫歯が小さければ、虫歯を削ってコンポジットレジンを詰めます。レジンは白い樹脂製の材料で、強度は低いため、大きな虫歯には詰め物（インレー）を使います。
詰め物は保険が効く銀歯以外に、保険適用外のオールセラミックインレーやハイブリッドセラミックインレーなど、白い材料もあります。

被せ物（クラウン）

虫歯が大きくなると、神経を取り除いて土台を立てたあとに被せ物をします。保険が適用される被せ物には、表側に白いレジンを貼り付けた硬質レジン前装冠、金属を使っていない硬質レジンジャケット冠、ハイブリッドセラミックレジン冠、銀歯などがあります。
保険適用外の被せ物には、ハイブリッドセラミック、メタルボンドセラミック、オールセラミックなどがあります。

根っこの治療（根管治療）

虫歯が神経に達してしまった時は、歯の根の治療（根管治療）を行います。根管治療はリーマーやファイルといった器具を使って歯根内部にある歯髄や神経を取り除き、根管内を清掃して消毒します。最後に細菌が入らないよう薬剤を充填します。

根管治療をした歯でも神経の取り残しがあると、細菌が繁殖して炎症を起こしたり、歯根の先端に膿が溜まる「根尖性歯周炎」を誘発することがあります。歯茎に膿の出口が出来たり、歯茎が腫れる場合もあります。

再根幹治療を防ぐためには、マイクロスコープやラバーダム、歯科用CTを用いて、より精度の高い治療を行います。ラバーダムを装置することで、治療中に細菌が入り込むのを防ぎます。また、マイクロスコープを使うことで、肉眼では見つけられなかった根管内も、隅々まで綺麗にすることができます。

一度酷い虫歯になってしまうと、歯は再び元には戻りません。虫歯になった歯は、少しでも長く使えるように処置を行います。抜歯という判断が下される前に、早めの治療をおすすめします。